蒼色のヴァンピール
噂
「なぁ、なぁ。あの噂知ってる?『都会のヴァンパイア』」
二時限目の休み時間。
安堂がふいに発したその台詞に、俺は面食らってしまった。
朝の莉華といい、最近はその噂がかなり蔓延してるらしい。
と言っても、俺は全然知らなかったけど。
「また、その噂かよ。もういい加減にしてくれよ。まさか信じてるわけじゃねぇだろ?」
「またってどういうことだよ?」
「その話題、朝も莉華に聞かされたんだよ。しかもなぜか、取材に付き合う羽目にまでなって…」
俺がそう答えると、安堂は目を輝かせた。
「マジで!?面白そうじゃん!別にリアルに信じてるわけじゃねぇけどさ、なんかそういうのってロマン感じねぇ?」
「ロマン、ねぇ?」
正直、俺にはよく分からない。
ありもしないと分かりきっていることを調べて、何が楽しいんだか。
「ねえ、その噂、私にも教えてくれる?」
突然、そう話しかけられて驚いて振り向くと、そこには、兎南がいた。