【短編】Little Kiss Magic 2~秘密と嫉妬~
Side 香織
「……ごめん。」

彼のその言葉に何だか一線を引かれたみたいで…胸がズキンと痛んだ。

その後学校まで肩を並べて歩いたけれど、どこか口数も少なくて、廉君は何かを考え込んでいるようだった。

何を考えているんだろう。

もしかして、さっきのキスをあたしが嫌がったと思っているのかな?

イヤだったわけじゃない。ただ、クラスメイトが周りにいるかと思って恥ずかしかっただけなのに…
廉君…怒っているのかな?

少し俯き加減で何かを考える時の遠い目をしている廉君の横顔をじっと見つめる。

長い睫毛、すっと通った高い鼻、眼鏡をとるとすごく綺麗な瞳をしていて、結構整ったカッコイイ部類の顔立ちをしている。
目立たないけどスポーツだって実はかなり出来て、頭が良くて、身長だって高い。
付き合ってみてわかったけれど、廉君はひょろりとした見かけほど細くなくて意外とがっしりしていたりする。

クラスメイトたちはあたしが廉君と付き合いだしたことに異議を唱えたりもしたけれど、あたしは全然気にならなかった。
彼の瞳がどんなに綺麗か誰も知らないくせにって心の奥底で優越感に浸っていたのよ。

あたしにだけ見せてくれる眼鏡を外した廉君の笑顔があたしは大好きで…。

その笑顔の傍にずっとずっと一緒にいたいと思うの。



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