夢を正夢にする夢
ふぅ。

机の中に手を置いて、携帯を握りしめて、私は息を整えた。

ダメよ。

このままじゃ完全に響加のペースだわ。

言っておかなきゃ。

『楠木は、雨には濡れてないって』って・・・

だって。

昼休憩時には、楠木は濡れて居なかったもの。

でも、楠木は『正夢をみた』って言っていたのだもの。

つまり、楠木は、雨に濡れる夢ではなく、雨が降っているいる夢を見たのよね・・・

うっふ。

私ってば。頭いいわwww


私が頭の中でアレコレあれこれ思考を繰り広げていると、両手で握り締めていた携帯が、また震えた。



ブルブル・・・



『あ、そうそう・・・雨固体の意味はね・・・浄化・祝福などの意味みたいね』



あら・・・先を越されちゃったわ・・・・・・


あぁ・・・私も、夢判断の本を買おうかしら・・・

がっくし。


こんな私を慰めるかのように、本日最後の授業の終わりを告げるチャイムが、鳴り響いた。



「岬っちゃん。解かったわ!!」


チャイムが鳴り終わるやいなや、響加がくるりと向きを変えて、私の隣にやってきた。

「???」

「岬っちゃんが、雨に濡れる夢をみればいいのね☆これ、貸したげるね」

響加は、無邪気なまでに天真爛漫な超とびっきりフルパワーな笑みで、私に、そっと夢判断の本を差し出した。

あ、あなた様は、エスパーですか・・???

あぁ・・・もう、響加ったらんwww


何か勝負をしていたわけではないけどさ・・・

か・・・

カン・・・

完敗だわ・・・響加w


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