夢を正夢にする夢

(③)だって、だってなんだもん。



うげぇぇぇぇぇぇぇぇぇ…

しっかり寝ていないワケでもないのに…


変な物でも食べたのかしらん…

物凄い…

激バス酔いをしてしまいました。


つかね…

バスを降りたとたんに居た、火野上の、あのニヤケタ顔を見たとたん…

何か悪化した気分…

あの、「何でも俺は知っています」的な表情が、溜まらない…

すっげぇ胸焼け…


「ご返答を頂きましょうか?」


にやにやと、腕を組んだまま、あいつはバス停に立っていた。


「いや…覚悟は決められましたか?」


にやにやと喋る。

一人だ。

せめて、楠木が居てくれれば、胸焼けもすっきりするだろうにさ!!


「決めてますが、何か?」


胸焼けも重なってだと思うけど、ムスっと私は答える。

火野上は、満足そうに笑うと、パカッと携帯を取り出した。


「あ、そう、そうそう。うん、じゃあ、覚悟よろしく」

「?????????」

誰に電話をかけているのだろ??

火野上は、それだけ早口で言うと、また、パタンと携帯を閉じた。

火野上の頭の色に似た、くすんだ色の赤い携帯。

最新機種使いやがって…

羨ましいヤツだ。

本当に…


「・・・ねぇ…」

「ん?」

「いや…やっぱいい…」



馬鹿な私。

あれは、夢なのに…

どうしても、夢の中で喋っていた楠木の話が、頭を過ぎってしまう。

あの、


『あれ、あいつの嘘』


という言葉が、ずっと頭に残っている。

まさか…

とうとう…

夢を現実にする夢が叶うのかしらん…


ギャーーー

悪いけど、今時珍しい処女ですからーーーーー!!!!!(赤面)







・・・・・・ぶっとびすぎて顔が熱くなってきたわ…。

やれやれ。
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