夢を正夢にする夢
「…念のために聞くけど、OKて事でいいだろ?」

「・・・・・念のために言っておくけど、OKって事だから」


そう、売られた喧嘩を買うような返答をする私。

火野上は、満足げな表情を見せて、ニヤリと笑った。

なんか腹が立つのよね…

彼の背が異常に高いせいかもしれないけど…

いや、異様ってほど異様じゃないかもしれないけど…

私から見れば、異様だわ!!

150cm無い私から見れば、170の楠木さえ高いのに…

さらに10cm以上高い(推定)であろう彼なんかは…

首が痛くなるのよ…

だから、近くに来て欲しくもないのよ。

本当は…

ムチウチになっちゃうわよ。

・・・

・・・て、私って、本当、可愛くない女…(ため息)



はぁ…

って、凹んでいる場合でもないわよね…

私は、無理やり顎を上に向けて、彼と目線を合わせる。


「力入りすぎだよお前…もっと力抜けよ。そんなに、命の危険無いと思うし…無い様に工夫するからさ…」


あら、ちょっと困った顔を見せてくる火野上だ。

別に…

囮作戦に緊張してるわけじゃなくて…

ただ、胸焼けが凄かっただけなんだけど…

ま…いいかっ(*^_^*)


いや、…でも…

あれ???


「拳銃持ってるかもしれないのに???」


普通に疑問に思った事が、ふと、口に出てしまった私に、火野上は慌てふためいて人差し指を立て…


「馬鹿っお前っっまた忘れられようとしてるのに、また俺が疑われるじゃねーか阿呆っ」


と、物凄い慌てぶりを見せた(笑)

その慌てぶりがちょっと面白くて、クスクス笑ってしまう私だ。


「あーーー…ま、いいけどさ…」


いかん。

ウケルっ!!

しかも、そんな顔して、

そんな、怖い顔していて、

実は、気にしていたワケなんだね(笑)

皆に、疑われたり避けれられていたりしていた事を…


『こいつ、悪いのは見た目と態度だけだから』


全然フォローになっていない、楠木のいつかの言葉が、頭をよぎった。

今なら、少しだけ、ほんの少しだけだけど、解かる気がするよ。

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