魔女の報酬3~封呪の守り人~

(6)恐怖の大王

 恐怖のニコニコ大王または子どもおとな王こと、メディアいわくの変人一家の大元締めのウィルランド国王、ミレド二世は政務室でなにやら難しい顔をして思索に耽っていた。

 と言っても、生まれついての童顔。

 今年で、五十になろうかというのに血色のいい丸顔にふわふわの金髪は、どうにも赤ん坊を思わせる。
 
 そんな容貌で物思いに耽ってみても、はたからはちっとも深刻には見えない。しかし当人はしごく真剣だった。

 あの魔法院の院長は何かを隠している。

 それはわかる。
 どうやらメディア殿に関わる何かとても重要なこと。
 一つはわかる。

 魔法院の秘蔵っ子と王子との婚姻を認めたのは、あれの引く草原のフィアールの血ゆえのこと。特異な力を持つ一族の生まれであったから、二人の間に生まれる子に興味があったのだろう。

 が、それは、さすがに公には言えない、というのはわかる。
 わからないのは、もう一つ。

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