魔女の報酬3~封呪の守り人~

(7)女の子の魔法

 温かなたっぷりとしたお湯につかるのは最高の贅沢にして至福の瞬間だと、シャリアは思う。
 あまり雨の降らない草原では、こんなことは望めない。

 巨大な大理石の湯船にしなやかな手足を伸ばす。まだ成熟しきっていない華奢な、けれど均整のとれた裸身の回りを、ほどいた長い銀の髪が泳ぐ。

 シャリアにとっても湯浴みは、宮廷での数少ない楽しみのうちでも最大のものだ。この後に、女官長主催の着せ替え大会が待っていなければ。

 きれいなドレスも宝石も見るのは好きだ。きれいなモノは見ているだけで、豊かな気分になれる。けれど、それで自分が飾り立てられるとなれば訳が違う。

 似合わないわけではない。自分でもけっこう美人だと思うし、飾りがいはあるだろうと思う。けれど、窮屈だし、何しろあんなものを着せられたら、いざというとき身動きができないではないか。

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