アースルーリンドの騎士 番外編ファントレイユとの出会い
そんな時だった。

ファントレイユに、出会ったのは。

もう14にもなったのだから、自由に城下を

歩き回りたいと申し出たら、

大臣達が、護衛役を付けてくれた。

近衛連隊の中で、彼なら宮廷でも

如才無く過ごせ、気の利いた男で、

腕も確かだと言われて初めて、

ファントレイユに会った。

その時ソルジェニーは、戸口から、

昼の光溢れる室内に彼が、

白っぽい衣服を纏って姿を現し、

自分の方へとゆっくり、歩み寄って

来たのを不思議な気持ちで見つめていた。

溢れる光の中の彼は、光の加減で

グレーに見える、たっぷりとした

艶やかな栗毛を首に巻き付けるように

肩の上でほんの少し揺らし、

その際立つ美貌の細面の上に、

微笑を浮かべていた。

あんまり、その立ち居振る舞いが

すらりとして美しく、仕草も動作もが優雅で、

一瞬見惚れてしまったように、思う。

姿の綺麗なご婦人は、この宮廷で幾人にも

お目にかかったが、

これ程優雅で隙の無い程

美しい男性は初めだった。

ファントレイユには、人を引きつける

独特の雰囲気が、あって、

その透けるように明るく輝くブルー・グレーの

瞳のその美貌で微笑みかけられるとつい、

彼に魅入られ、見惚れてしまい、

それはうっとりとした気分に、させられる。

・・・宮廷作法の、教育係だと紹介されたり

していたらきっと、

こんなに驚いたりはしなかったろう。

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