アースルーリンドの騎士 番外編ファントレイユとの出会い
1 護衛
ソルジェニーは本当に、気落ちしていた。

古くからの契約、アースルーリンドの王子の

軍事教練を受け持つ『風の民』との

契約期間がとうとう、

終わってしまったからだった。

ソルジェニーはもう14になっていたし、

本来12になった時教練は終了している筈が、

二年も延期されたというにも関わらず、

彼は家族のように扱ってくれる『風の民』と

離れる事がうんと、寂しく、心細かった。

理由は彼の父、アースルーリンドの王が

彼が産まれた時に亡くなり、彼の母親も

彼が幼い頃に事故でこの世を去り、

更に女王として君臨していた

祖母ですら、

五歳の時に他界。

身内と呼べる者が殆ど身近に、

居無いせいだった。

その為なのかは解らないが、

王国の西にある『風の民』の地から

城に、教練中度々戻る時に感じる、

違和感。

次期王位継承者なのにも関わらず、

城の中に彼の居場所は、

無いように感じられて、とても孤独だった。

・・・『風の民』の荒れた地の、粗末な住まいと違い、

城の中には不自由なんて、全く無かった。

いつだって美味しい食事が用意され、

布団はいつもふかふかだったし、

衣服は毎朝召使いが整えてくれた。

にも関わらず、ソルジェニーは、

親しみを感じない教育係と世話役に

囲まれて、毎日息が詰まりそうだった。

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