歴史の星空に飛び込んで


「あっ!あの!えっと!や」

「菅野さん、あ、あなた……」

「ちちち違うんですってば!別に誘ったわけじゃなくて!」



首も手も、ブンブン振って沖田さんから少しのけ反る。沖田さんは私を赤い顔して見ながら少し気まずそう。


「……かんっ、げほっごほっげほっ」

「あ、沖田さん」


何かを言いかけた沖田さん、切るような咳に驚いて慌てて沖田さんの背中を摩った。

温かい陽射しは柔らかいけれど、
沖田さんは日に日に窶れていて、そんな沖田さんと過ごす一日一日はゆっくりだった。



ひざだちになって沖田さんの背中を摩る。沖田さんは苦しそうに辛そうに咳を繰り返していた。

息大丈夫だろうか、肺からの咳ってとても辛そう。
沖田さんの辛さ分かち合えたらいいのに。

「げほっごほっ、か、んのさん」

「はいっ、なんですか…?沖田さん」

「げほっ、げほっ」


沖田さんは自分の口を手で抑えてるけれど、その手は吐かれた血でどんどん赤くなっているのが痛々しかった。

そんな時はすぐに清潔な布を持って来て、お湯を持ってきて、そうしようと立ち上がろうとすれば沖田さんの血だらけの手が私の腕をひいた。


「来て、」


それだけ言って沖田さんは私を力強くひいてその場に倒れていった。
私もそのまま手をひかれ沖田さんの上に倒れ込む。

頭の中では、

どうしようどうしよう、はやく咳止まって欲しいのにどうしよう

それがずっと流れていて今の状況なんて全く考えられなかった。

沖田さんの口元も、着物も血だらけで、私の手首も今沖田さんが触れている私の頬も血がついている。
私は、沖田さんの胸に手をつき上から沖田さんを見上げた。


沖田さんはすーはーと深い息をし少し落ち着いたみたい。

沖田さん、大丈夫かな、少し目が潤んでるな。






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