サクラ咲ク


左介さんのお団子屋さんは、いつもお客さんで賑わっていた。



「こんにちは。左介さん。」


「おぉ!あんたは、お菊さんとこの…」


「はい。注文されていたお着物、届けに来ました。娘さん、ご結婚なさるんですね。おめでとうございます。」



着物を手渡すと、左介さんは嬉しそうに笑った。



「有難う…あの子には沢山苦労かけたからなぁ…」


左介さんの視線の先には、接客をする若い女性の姿。



優しげな横顔。



「…挨拶、してきてもいいですか?」




そう佐介さんに言えば、嬉しそうに頷いてくれた。




.
< 229 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop