ボスを継いだ少女
私は『幻影』ごときに本気を出していたのか。






だが、本体が分かれば次の手で終わられた。






「確かにアカネはお父さんよりも強いらしい。
でも、僕には勝てない。だからやめよう」


「懲りずにまだ…」






私は法被を手元に戻し、ナイフと法被を持った。






「仕方がない…」


「やっとやる気になったの」


「ナナミにも、皆にも内緒だよ」


「知らない」






その瞬間、身体が震えだした。


何が起きているのかはわからない。


空間が歪んで見えた。






これはお父さんが能力を使用している状態よりも圧倒的なものだ。






これが『神山ミコト』…






これが『超越者』…






「制御できるようになったのはつい最近なんだ。
制御はできるけど手加減はできない。
それだけはわかってほしい」






「わかってる」






私は体中から汗が出ていた。


まともに戦える状態ではない。


まだ、何もしていないのにこの緊張感は何なんだろう。






「それじゃあ、いくよ」
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