教えてよ! マイちゃん先生!!
先生ってよんでね?

隣の新一くん。

街はピンク色の桜でフワフワしていて、始まりの季節にしては夢の中にいるみたいにぼんやりしていた。

マイは新調したベージュのスーツをきて姿見の前でくるりと一回転してみた。


「ん。意外とお似合いですね!!」

鏡の中の自分に話しかける。


腰まで伸ばした髪はハーフアップにしてお気に入りの髪飾りをつけた。


メイクはあくまでナチュラルに、清潔に。

「入念だな」


巧がいつの間にか、扉の前でみていた。


「当たり前だよ~
だって私は先生っなんだからね!!」


マイは嬉しそうに笑った。


「OL目指してたんだろ。本当切替早いな。」

巧は心配だった。
今の中学生は大人よりもずっとストレートで残酷だ。


「巧、私のこと心配してくれるの?」

マイが嬉しそうにじゃれてくる。


(・・こういうとこ本当可愛くてずるいんだよな。)

と心の中で姉の無邪気な姿に愛しさを感じながらも、


「姉ちゃんが、成長段階の子供達に悪影響を与えるんじゃないかって心配なんだよ」

といって、マイのおでこを軽くこついで部屋をでていった。


「巧が学校にいてくれたらなぁ・・心強いのに。」

そう呟いてから、マイは頭を強くふった。

「これから先生になる人がなーにいってるのよ!!」

頬をパチパチたたいて気合いをいれる。


「よしっ!頑張れ私!」

自分を自分で叱咤激励しながら、学校へ向かった。

花森中学までは、マイの家からそう離れていなかったのでマイは学校まで自転車で通うことにした。

登校中の中学生に沢山出会い、その度に

「私、この子達の先生になるのねっ!!」

と感傷的になり、


「おはよー!!みんなおっはよー!!」


と声をかけながら自転車を走らせた。


生徒達はみんなハイテンションな女の登場にたじろぎながらも、何人かは挨拶を返してくれる。


マイがまさか先生だとは誰も思わないのだろう。


マイはそんな微妙な空気を気にせず、校舎の中へ入っていく。
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