青春の風
 
そんな二人の話しの内容がわかっていない私が、声を掛けようとした時、琥太郎先輩が驚くことを口にした。



「よかったな、樹マジでやめたがってたから、これで青春部やめられるな」



その言葉に足を止め、思わず二人の視界に入らないように階段を少し上がる。



どういうこと?



樹先輩が青春部をやめる?



「三人入ったらやめてもいいなんて無謀だと思ってたけど、意外に簡単だったな」



「そうでもねえよ、犠牲になってるだろ」



そう言った声はとても面倒そうで、冷たい声に聞こえた。



よくよく考えると、変な話だったのに……。



初めて会った時、私の前で裏の顔を見せていた樹先輩。
< 169 / 316 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop