青春の風
 
かっこよくて、優しくて、元気な青空先輩が見たいから。



「やっぱり彩乃君はセンスがいいね」



顔をゆっくり上げ、そう言って笑ってくれた青空先輩に、思わず泣きそうになる。



でもその顔は見られなくてすんだ。



それは青空先輩が顔を逸らしたから。



「行くよ」



そう呟いた時ベットのシーツに落ちる滴は、青空先輩の涙。



耐えられない涙が溢れる私は、思わず病室を出ようと歩き出す。



「いつがいい? あんたに合すけど?」



軽く聞く樹先輩の声も震えていて。
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