どこまでも、蒼く
ほら、また…
俺を見つけては無邪気に笑って俺の名前を呼ぶんだろ?
『嵐…』
ゆっくりと目を開けると、そこには怪しい笑みを浮かべた…すばるがいた。
しかもその距離はわずか数センチ。
近すぎだろ。
『…なんだよ』
『ふーん。嵐、もしかして恋した?』
どうして人間は人のことになると鋭く、自分のことになると鈍くなるのだろう。
疑問に思っていた。
すばるはどうして分かったのだろうか?
俺の心を勝手に覗き込んだのだろうか?
それなら不法侵入で訴えてやるのに。
俺はすばるから視線を逸らし、廊下に染み付いた汚れを見ていた。
ただ誤魔化したかっただけ。
すばるとずっと目を合わしていると、正直な自分が表へと出そうだったから。
『…うぜぇ、お前』
『無機になるとこが怪しいね、嵐ちゃん』
絶対語尾にハートマークがあったはずだ。
すばるの言葉を聞いた俺は、背中をぶるっと震わした。