どこまでも、蒼く


なんでそんな正直に理由を言うかな。
バカ正直すぎだろ。


自分の席へと向かう途中、視線を感じると思い、顔を傾けると、そこには唇を噛み締めた千夏の姿があった。

どうしてそんな顔をするんだよ?


忘れていた。
千夏も恋をする人だと。

席へとつき、携帯をポケットから取り出す。
横を見ると陽菜の席は空席だった。

どこにいるのだろう?

まだ屋上かもしれない。
陽菜は空が好きだから。

俺は携帯を机の上に置き、机からノートを取り出して、シャープペンシルの芯をカチカチと出す。
そして真っ白なノートに描いていくのだ。


教室から見える景色を。

これは俺の趣味のひとつ。

描く絵は、心を表している。
イライラしているときに描く絵はひどいものだ。

今ならマシな絵を描くことが出来そうなんだ。



俺には夢というものなんてなかった。

だけど訂正させて。


お前と出逢って恋を知り、夢までも見つけることが出来たよ。


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