どこまでも、蒼く
『卒業したらみんなバラバラなんだな…』
今は顔を見て笑い合えても、あと半年で今までそれが当たり前だったことすら出来なくなるんだ。そう思うと、苦しくなる。
そして寂しくなる。
思い出をたくさん作っておきたいと思った…。
いつまで経っても色褪せないような、そんな思い出を…。
でも俺は今でも覚えている。
あの時の思い出は今もきらきらと輝いている…。
…そして学校が終わり、俺と陽菜は帰る準備をしていた。
俺は一足早いマフラーを巻いて、教室から出ていく。
『陽菜、早く来いよ』
振り返ると慌てて準備をする陽菜がいる。
そんな姿を見ていると、愛しさが芽生えるんだ。
『ま…待って!』
『早くしないとおいてくよ?』
こう言ってワザと足を進める。
陽菜をいじめるのは楽しいんだ。
『あ…嵐…?』
『なに?』
後ろには照れくさそうな表情を見せる陽菜がいる。
そして陽菜は俺に右手を差し出した…。
『手を…繋いでくれますか…?』
ほら、また芽生えたよ…
愛しさが…。