どこまでも、蒼く
《嘘つくなよ》
そんな優しい口調で言うなよ。
また苦しくなるだろ?
悲しくなるだろ…
涙、枯れてしまう。
『俺、前にあの子に逢ったことあるんだ。荷物なんてなくて、カメラを大事そうに抱えてさ…困った表情を見せてた…』
慶汰の言葉を聞いて、俺はあることを思い出す。それは、陽菜から聞いた慶汰との出逢い。
『ずっと目で追っていくうちに、見とれている自分がいてさ…、いつの間にか声をかけてた…』
交差する気持ち。
どうして人間は不器用なのだろう。
黙ったまま続きを聞いていく。
『近くで見たらすごく可愛くて…。道を教えて去っていったよ…。…東京なんてすごい人ですれ違った人の顔すら覚えていないのに、その子だけは人混みの中からすぐ見つけることが出来るんだ…』
それは─…、
好きだから─…。