どこまでも、蒼く


不自由だ。
不自由すぎる。
慶汰がいるせいだ。



『…消えろよ。気分わりぃから』


『…え、え?』


近寄るなよ。
俺はこの世界を本気で憎みそうだ。

周りの騒音が俺の耳の中に入ってくる。
だが二人の耳には騒音とは違う音が聞こえているに違いない。
きっと自分の心臓の鼓動が聞こえているだろう。


『ちょっと待った!嵐は慶汰より何倍もかっこいいって!な、馨?』


『うんうん。』


するとこの黒いオーラの中に入ってきたすばると馨。
二人の手には買ったばかりのハンバーガーとジュースを持っている。


すばると馨の登場に女たちは再び瞳にハートを浮かべていた。
本当に単純だな。
いい男が現れたらそれでいいのかよ。


『た…確かに慶汰よりかっこいいよね!
…だから遊ばない??』


同じことを何回言わせるの?
さっきも言ったじゃん。また、同じことを言って欲しいの?



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