どこまでも、蒼く
自分では分からないこと。
だって、初めてのことだから。
心臓がこんなにもリズムよく弾むものなんて知らなかった。
どうして?なぜ?
陽菜にあんな言葉を言われただけなのに。
普通の言葉じゃないか。
でも、ただ分かること。それは…陽菜の笑顔が眩しかったこと。
ただそれだけ。
家に帰る途中、脳裏には陽菜の笑顔だけが焼き付いていた。
無理矢理消そうとしても、なかなか消えなくて、ずっと苦しんでいた。
陽菜の心を俺のものにしよう、という意地悪な考えは本当に出来るのだろうか?
逆に俺の心が奪われそう。
いや、違う。
もう奪われていたんだ。
自分では否定していたけれど、もうとっくに。
夜、俺はベッドに寝転んで陽菜のことを考えていた。
『…なんでだろ…』
なんで思い出されるのだろう。
でも、この恋は切なくて、苦しい恋だったんだ。