うさぎが恋した黒ウサギ


「…柚菜ってさ、本当にお世辞なしで
大人だよね!」


「あはは、どういう意味でよ~」


言っていいかな、
分かんないけど

「いや、何でそんな恋愛経験豊富なのかなー?って思って」

「…んー?あぁ、舞ちゃんにはあんまり言わないもんねー学校違うし」


「あ、ねー。だって中学同じだったけどそーいう話聞いてなかったから気になってさ」


「同じ中学で彼氏作んないから」

そのとき柚菜の
声のトーンが変わった

含みのはいった
凄い低い声


…ただ今を逃したら
聞けないと思う

「何でー?」

「…何でって何で?教えなくちゃいけないこと?」



「…いや、別に言いたくないなら全然いいよ」

「そ?あ、バス来たからもう行くね、また誘ってねー舞ちゃんばいばい」
棒読みで柚菜は
バス停まで
走って行った








嘘。バスなんか来てないくせに


何でこんなに柚菜は
自分の話をしたがらないのかな

それとも舞だから
したくないとか?


何の闇を抱えているんだろう



興味本位で多分
私は聞いてた


嫌がると分かって聞いてた


自分の好奇心だけで
行動しちゃった



…柚菜を傷つけたのかもしれない



友達なのに
最低だ、私…



柚菜からそれ以降
連絡はなかった





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