王子と姫が出会いました。
つわりってヤツがキツイらしく、1日飲まず食わずで寝てることもあるとか。



そのあとはちゃんとした服を着て来たので一安心。



茶色い髪が腰まであって、緩めのパーマがかかってた。



顔はとびきりの美人。



だけど親父とリュウさんいわく、道に落ちてたらしい。



事情は俺もよく知らないってことにしてるんで。



『お母さんとか呼ぶなら勘弁してください』

『呼ぶ気ねぇよ』

『他ならなんでもいいや』



自由な嫁は、旦那である親父にベッタリで。



家ン中にいるのに親父の後をずっと追い掛けてた。



歳の差カップル…。



「あの嫁にオモチャにされてんじゃねぇかな…」

「懐けばいいけど。王子には懐かなかったしな」

「リュウさんには懐いてんの?」

「アイツ、リュウのことは大嫌いだから威嚇する…」



『私も嫌いですから』



そう言ったリュウさんの気持ちがわかる。



俺も一緒にメシを食ったのに『いないもの』扱いされたし。



< 362 / 701 >

この作品をシェア

pagetop