あたしと彼と白いキャンバス
あたしも描きかけの絵の制作に取り掛かろう。

美術準備室に入って、違和感に気付く。




――あたしのキャンバスがない。



いつも、同じ場所に立て掛けていたのに。

間違えるはずがないのに。


狭い準備室を見回しても、
キャンバスを全部確認しても、

あたしのあのキャンバスは見当たらない。



喉が渇く。

頭の中が真っ白になる。


立ち尽くしていると、美術室からガタタッと大きな音がした。

椅子となにかが倒れる音。
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