あたしと彼と白いキャンバス
準備室の扉から美術室を覗くと、先輩が床に倒れ込んでいた。

イーゼルに掛けられたキャンバスに見下ろされながら、小さく身体を丸めて。



「先輩!」



凍りついた心臓が急激に動き出したような感覚がする。

あたしは声を上げて、先輩のもとに駆け寄った。


顔色が真っ青だ。


「大丈夫ですか!?」


頬を平手で叩く。

小さく呻くような声が漏れたけど、意識ははっきりとしないようだった。

下手に動かせない。



あたしは保健室へと走った。
< 16 / 321 >

この作品をシェア

pagetop