あたしと彼と白いキャンバス
先輩はココアを一口飲んでから小さく吐息を漏らし、


「…ありがとう」


ふんわりと花が開くような柔らかい笑みを浮かべる。

人間の、本当の笑顔。


それはいつもの計算されたものとはまるで違うように見えた。





テーブルを退かして布団を敷くと、先輩は倒れこむように眠りはじめた。


疲れていたんだろう。


あたしも、疲れた。



でも眠ろうと目を閉じれば雨音とともに篠宮先輩の寝息や寝返りが耳に届いて、

しばらくは緊張して眠れなかった。
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