あたしと彼と白いキャンバス
「貰った。あの、お前のことイジメてた女の子に」

「え」

「つか、この玉子焼きうめえ」



…そうか、あの女の顔が赤かったのはそういう意味か。

なるほど。

大人しくなるわけだ。


「…新太郎先輩のお陰で、虐められなくなりました」

「そりゃよかった。俺様に惚れるなよ?」

「それは大丈夫です」


さらりと流したあたしに、新太郎先輩は猫のように笑ってみせる。



「お前は千里が好きなんだもんなー?」


途端に熱くなったあたしの頬を、先輩の指が突っついた。
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