あたしと彼と白いキャンバス
もうすぐ冬休み。



油絵の作成中は換気のために窓を開けているが、はっきり言って辛い。

とにかく寒くて寒くて。

コートとホッカイロ装備で寒さに震えながら絵を描いている姿は、はたから見たら滑稽に違いない。



片づけが終わり、床に置いていたスクールバッグを拾う。


「じゃあ、失礼します」


扉を潜り暗い廊下に出ると、先輩も後からついてきた。


「もう遅いし、送ろうか?」

「大丈夫です」


先輩は美術室の鍵を閉めながら、また困ったような笑みを浮かべる。



「最近は物騒だから、気をつけて」
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