あたしと彼と白いキャンバス
授業と授業の間は教室から離れた。

志乃があたしに声をかけようとしているのがわかったからだ。




友達はいらない、といつも思ってきた。

人間関係に苦しめられるのは嫌だ。

だからはっきりと断わってしまえばいいのに。


――あたしは返事を迷っている。



「どうしよ…」



逃げるように歩く廊下は、寒い。


あたしはポケットの中で志乃からの手紙を握っていた。

手紙はなんだか温かい気がした。
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