衝動

 
床に付いてからは、隣に貴方がいるというだけで、本当に緊張してしまい、上手く寝付ける事が出来ませんでした。
貴方はもう寝ておられるのか、静かな呼吸の音が耳に届きます。
この近い距離で、貴方の呼吸音は心地好く、しかし、不意に、憎たらしく思えたのです。
愛情と憎悪は紙一重に扱われることが多いものですが、その意図を真に理解した瞬間でもありました。

ソと貴方に跨がり、脈打つ首に手を添えました。
とても温かい体温が、やはり憎らしいのです。
衝動は、そのまま力になりました。

貴方は暗闇で目をゆっくりと開け、私をしかと見つめました。
それに気付いた私は、ハと気付いて力を微かに弱めましたが、貴方は咳き込みもせずに、静かに囁かれたのです。

「殺したいなら殺しても良い」
 
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