電話

 
あれからも、幾度か電話や微かな時間を共有し、時には外へ出掛けたりと幸せな時間を過ごしておりました。
ある日には、

「聞いて、知らない親父にコレでどうだって言われたよー」
「ならその金俺にくれ」

等と、私を喜ばしてくれたりもしました。


しかし、ある夜中の事でした。
その夜は、梅雨の季節であると知らしめるように、雨が大層ひどく降り注いでおりました。

今日は来て下さらないだろうと、私はいつものように部屋を真暗にし、気に入りのCDをかけておりました。
そこへ、電話が鳴りました。
特定された着信音は、ドビュッシーの旋律を奏で、私は幾度かコールを置いてから電話を取りました。



内容は、至極簡単なものでございました。
 
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