ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~


「良太郎ー、啓介ー」


ブンブンと手を振る青山に、犬飼くんと啓介くんが優しく手を振って応える。




「このメンバー全員が集まれるのは、今日が最後かもな」


青山は少しだけ寂しそうに笑ったけれど、それでも、どこか満足そうに私の背中を押した。




「よっしゃ!! 啓介、みんなで写真を撮るぞー!!」

「そう言うと思ってた。 もう準備出来てるよ」

「さっすが啓介!! 男前!!」


みんなでワイワイガヤガヤと集まって、スタンバイオッケー。


「行くよー」


フィルムカメラのセルフタイマーをスタートさせ、啓介くんが私の隣に来る。

そっと手と手を繋ぎ、二人で笑い合い、カメラへと視線を移す。




3、2、1、


カシャッ




私を中心として、啓介くん、犬飼くん、小百合ちゃん、青山の4人がそばで笑ってる。

これから進む道は、みんな別々になってしまうけど、それでも私たちは、今日という日を忘れることはない。




「卒業おめでとー!! 祝・良太郎さよなら記念!!」

「ちょっ、渉。 俺が居なくなって嬉しいのかよー……」

「おぅ、うるせーお兄ちゃんが居なくなって清々するぜ!!」

「……あ、さゆと渉が結婚したら、俺って一応渉の兄貴になるんだ?
へぇー……そうなった時は、メチャクチャいじめてやろーっと」

「ギャー!! やめてーお兄様ー!!」


屋上内を追いかけ回す犬飼くんと、逃げ回る青山。

離れていくとわかっていても、二人はいつもと変わらない顔で笑ってる。


だからそばに居た私も啓介くんも小百合ちゃんも、いつもと同じように笑って二人を見つめていた。


< 257 / 266 >

この作品をシェア

pagetop