絶えぬ想い、君に


だけど菜緒がいなくなって、そんな気持ちは吹っ飛んだ。



池内のことを好きかもしれないという気持ちさえも、どこか遠くに飛んで、思い出すこともなかった。



だけど半年が経って、俺が気持ちとは逆に“普通”になって。



そんな状態で池内の気持ちが伝わってきて、池内の誰よりも俺を心配してくれる気持ちが伝わってくる。



俺を見つけてくれた時の池内の言葉が頭から離れない。



あの頃の自分の気持ちが、だんだん蘇ってくる。



池内の想いが伝わってくればくるほど、どこか遠くに追いやった気持ちが、また出て来てしまう。



きっと慎吾はそれに気付いてるから、こう言ってくるんだろう。



俺は池内にすごく感謝してる。



自分のことも乃亜のことも心配してくれて。



その池内の気持ちに、どう返すことが出来るんだろう。



自分のあの頃の気持ちがわかっても、またあの頃の様にどうすればいいかわかんない。



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