~LOVE GAME~

「でも、記者志望の人がペラペラ人のことを話すのはどうかと思うけど……」

ジトーっとした目で見つめると、ちなが慌てて「ごめんって」と手を合わせた。

「でもさ、変だよね……」

ちなが呟く。それに首をかしげた。
変って? 何が?

「春岡君は楓を知ってたんでしょう? なら普通に声をかければいいじゃん? なのに、覚えてないのかだなんて回りくどい言い方するなんて……」
「確かにそうだね」

普通に久しぶりって声をかければすむことだ。
わざわざあんな言い方をしなくても良いのに……。
しかもあの笑顔。爽やかな笑顔の龍輝君からはちょっと違う、まるで裏の顔を見てしまった気がする。

「例え声をかけて相手に忘れられてたとしてもさ。いついつこうして出会ってましたって言えば良いことでしょう? なんか変だよね」
「そうだよね」
「聞いてみたら?」
「何を?」
「だから春岡君に直接どこで会っていたか、聞いてみたら?」


聞く? 私から?
ちなの提案にあっさり納得する。

「あ、そうか」

そうだね。
本人に聞いちゃえばスッキリする話だ。
うんうんと納得したならば、話は早い。
そうしよう! あとで龍輝君に話を聞きに行こう。
そう決めた。

昼休みーー………………

1-Bの教室までやってきた。
しかし、勢いつけて龍輝君の教室まできたはいいけど……。
教室の前には他のクラスにない光景があった。
廊下には女子がたむろっており、色めきだっている。
最近こういう光景をよく見るな、なんて思った。
そもそも、この教室の前にだけ、やけに女子率高くないですか!?
用もないのにわらわらしている!?
まさか、みんな龍輝君目当てとか……?
どれだけ凄いのよ。春岡龍輝って男は。
ある意味感心しちゃう。
そんな中、龍輝君に声をかけるのは少し気が引けた。
呼び出したりしたら、ここにいる女子たちに殺されるのではないだろうか……。
そんな恐ろしさを秘めている。
しかし、龍輝君とは話がしたい。どうしたものかと思ったが、時間もないため、意を決して声をかけようと決心した。





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