~LOVE GAME~
キキキー、ドカン!!!
勢いよく引かれて、血がたくさん出ていて、ピクリとも動かなくなったたっくん。
車から降りたおじさんが、慌てて救急車を呼んで、そのまま運ばれていった。
それを、呆然と木の上から見ていた。
それからは私もショックで記憶が曖昧でほとんど覚えていない。
ただ…。
私は親からもうたっくんには会えないと言われた。
遠いところへ行ってしまったのだと。
幼い心に、それはもう二度と会えなくて永遠の別れなのだと理解した。
両親はなにも言わないけど、きっとたっくんは死んでしまったのだろうと……。
そして、私はそのショックから当時の記憶がほとんどなかった。
そして、今。
龍輝君の言葉で、一気に思い出したのだ。
まさか……。
そのたっくんが生きていたなんて……。
生きていてくれて嬉しい。
本当に嬉しい。
「生きていて良かった……」
「……」
私の呟きに龍輝君が反応することはなかった。
でも……。
『傷のことばらされたくなかったら俺の言うこと聞けよ?』
だなんて……。
完璧、脅しだ。
龍輝君の言うことってなに?
まさか、いじめに会うとか?
確かにそんな目にあっても、何も言えないくらいのことはした。
でも……、正直怖かった。
だからといって、私は加害者なんだから龍輝君には逆らえない立場だ……。
「言うことを聞くって、どんなこと……?」
怯えながらそういうと、龍輝君はため息をついて「考えとく」と部屋を出ていった。
ーーーー
龍輝君が生きていたのは嬉しいけど……。
私の知っている龍輝君はあんなんじゃなかった。
はぁ~……。
自分のしたことの後悔と、これから何が起こるかわからない不安とが入り交じった重いため息をつく。
「何、ため息? 幸せが逃げるよ~」
親友のちなが机に伏せっている私の顔を覗きこんだ。
「楓、昨日、春岡くんのとこ行ってから様子が変だよ?」
「そうかな……?」
変にもなるよね。
私も戸惑っているんだから。