~LOVE GAME~


「ごめん…」

何となく謝ってしまう。
龍輝君は自分が座っている隣の床をペチペチと叩き、無言で座れと指示した。
上目遣いとか、やめてよ……。
俺様でムカつくのに、なんか可愛く思えてしまう。
小さく息を吐き、黙って座った。

「ご飯食べていいかな?」
「あぁ、どうぞ」

手をつけてなかったお弁当を広げる。

「あれ、龍輝君は?」
「もう食った」
「早いね」
「パンだけだからな」

横には確かにパンのゴミらしき袋があった。
いつもひとりでここで食べてるのかな?

「いつもここだよ」
「え?」

私の考えを読み取ったように話し出した。

「時々友達と食うけど、だいたいひとりでここにいる」
「……どうして?」

私は首を傾げる。
友達と一緒のほうが楽しいのに。
私の疑問に、龍輝君はフワッと柔らかく笑った。
……っずるい。
不覚にもその笑顔に心臓が大きく鳴ったよ。

「楽だから。それにそのおかげで、楓とこうしていられるだろ」

なにそれ。まるで、私と二人で過ごすのが嬉しいって言っているみたいじゃない。
そんなわけないのに。
でも恥ずかしくなり俯く。
そんな私の隣にくっつくように龍輝君が寄ってきて座った。

近っ!

離れようとしたが、龍輝君はピッタリとくっついてきた。

「な、なに!?」
「それ、お前が作ったの?」
「え?」

指を指された方をみると卵焼きがあった。
食べたいのかな? いいけど。

「うん。私が作ったよ」

お母さんはまだお父さんのところにいるし、そうじゃなくても基本的にいつも自分で作ってる。
龍輝君はじっと見つめて呟いた。

「うまそう」
「食べる?」

と同時にひょいと食べられてしまった。

「………甘っ」

そう呟いて苦笑する。
そんなに甘かったかなぁ。

「甘い玉子焼きは嫌い?」
「そんなことないけど、妙に甘く感じただけ」

そういいつつ、もう一つの玉子焼きもパクッと食べた。

「なぁ……」
「何?」
「俺のこと見てただろ」

見てた…?
そして、何の話かすぐに気がつく。

「あっ、いや、あれは偶然で……!」

体育してる所を見ていたのバレてた!
慌てる私にニヤリと笑う。


< 35 / 84 >

この作品をシェア

pagetop