~LOVE GAME~


ーー

「だから?」
「……いや、別にお互いのことよく知らないなぁと思っただけ」

今日も龍輝君にお昼に誘われて(連行されて)例の部屋で昼食中。
定番となりつつある二人での昼休みに、先日、貴島君に言われたことをそれとなく言ってみた。
そしたら、この返しだ。
なんか、冷たいなぁ~……。
まぁ何か特別な答えを期待していたわけてわもないんだけどね。

「知らないからって悪いことじゃねぇだろ」
「まぁ、そうだけど」
「なに、不満そうだけど?」
「え?」

下を向いた私を、龍輝君はそっと覗き込む。
ち、近っ!!!

「ちょっと……!」
「あ?」

慌てて身体をのけ反らせるが、後ろは壁でこれ以上はもう下がれない。
思わず龍輝君の肩に手をかけた。

「近いからっ!」
「そう?つーか、顔赤いよ?」
「こ、こんなに近ければ嫌でも赤くもなるって!」
「へぇ。面白ろいな……」

低く呟く声に背中がゾクッとする。

「手に力入ってないみたいだけど?」
「龍輝君……」

私の弱々しい声に、龍輝君はフッと笑った。
途端にスッと龍輝君は離れる。
胸を抑えながらホッと息を吐いた。

「ひとつ、知ったんじゃない?」
「えっ……?」
「俺が近いと、お前の息が上がる」
「はぁっ!? 何言って……」

抗議の声を上げるが、龍輝君は素知らぬ顔。
そしてニヤリと妖艶な笑顔を私に向けた。

「貴島の言葉なんてどうでもいい。っーか、惑わされるほど、俺を意識してるんだ?」
「違うって!」

惑わされる!?
もう! 何を言ってんのよ

私はムゥと口を結ぶ。龍輝君は楽しそうにアハハと笑うだけだった。

「た、龍輝君のクラスは交流祭、何するの?」

私は話をそらすように話題を変えた。

「俺らはお化け屋敷」
「お化け屋敷!?」

ベタなものやるんだなぁ。
私の考えを読んだかのように、龍輝君は言っとくけど俺の提案じゃないからなと言った。

「龍輝君の担当はなに?」
「俺? 秘密」

素っ気なく言われた。

「秘密って……」
「知りたきゃ俺のクラスに来いよ」

龍輝君はスッと身体を寄せて、艶っぽく低く言った。

「出したことない声……、出させてやるよ」
「っ!?」

龍輝君はニヤニヤと笑って、お茶を飲み干した。
赤くなった顔を隠す。
なんでこうもドキッとしてしまうんだろう。
そもそもイケメンに耐性がないんだよね。
イケメンってだけで、このゲームは龍輝君が有利じゃない!?

「必ず来いよ。うちのクラス」

必ず来て欲しいってことは、お化け役なんだろうなぁ。
怖いのは苦手……。
でも、お化けに仮装した龍輝君は見てみたい。

「返事は?」
「はぁい」

私はドキドキしたまま、小さく返事をした。




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