~LOVE GAME~
「えっ! そうなんだ!? ……なんで 一週間?」
ちなは驚き、すぐにキョトンとした顔になる。
「お試し期間。だから応援してね」
「へ~……」
ちなはチラッと私を見た。
「じゃぁ、早速だけど、彼氏さん? 楓を借りるよ」
「え? あっ」
ちなは返事も聞かずに、私の腕を掴んで校舎の中をどんどん進み、近くの女子トイレへ連れていった。
中には誰もいないことを確認して、ちなは私に詰め寄った。
「楓!なにこれ、どういうこと!?」
「なんか、成り行きでこんなことになりまして……」
ゴニョゴニョと濁すと、ちなは「はぁ!?」とますます混乱した様子を見せた。
「あんた、このこと春岡君は知ってるの?」
ちなの問い掛けに私は首を振る。
「知らないの?」
「なんて言えばいいかわからなくて……」
ちなは頭を抱えた。
「私……、楓は春岡君と付き合うかと思ってたよ」
「私たちはそんな関係じゃないよ……」
「でも、いい感じだったじゃん!」
ちなにはそう見えていたかもしれないけど、実際は龍輝君とはそんなんじゃなかった。
「どうして貴島と付き合うことになったの? 楓、貴島の事好きだったっけ?」
「それなんだけど……」
私は貴島君と付き合うことになった経緯をかいつまんでちなに話した。
話し終えると、ちなは少し顔を歪める。
「なるほどね、お試し一週間かぁ。それで、最後に返事をするんだ?」
「うん、一応そんな感じ」
「貴島もやるねぇ。結構、強引なんだね。意外~」
ふふっとどこか面白そうに呟く。
「それなら本当に貴島と付き合ってもいいんじゃん? 優良物件だよ? イケメンで背が高くて優秀で優しい」
「優良物件って……。でも、そう簡単に決められないよ」
「春岡君が気になる?」
ちなに言われて口をつぐむ。
このことを龍輝君が知ったらどう思うだろう。
俺には関係ないって思うのかな。
単に暇つぶしがなくなっただけ、GAME OVERだと思うだけなのだろうか。