~LOVE GAME~



そして初デートの日がやってきた。
貴島君とは駅で待ち合わせをして、一番近い遊園地にやってきた。
土曜日ということもあって、家族連れやカップルでにぎわっている。
そんな楽しい雰囲気に、自然と気分も上昇していった。

「遊園地なんて久しぶり」

最近は全然来ていなかった。

「俺も。まず何乗りたい?」
「貴島君は?」
「何でも大丈夫」
「じゃぁジェットコースター行こうよ」

私達はさっそく目玉の乗り物に向かった。
絶叫系や水を使ったアトラクションや乗り物、ショーなどを楽しんだ。
貴島君も激しい乗り物系は大丈夫なようで、私が乗りたいものを優先してくれる。
遊びながらも上手にリードしてくれて、貴島君の気遣いを感じた。
そして、あっという間に時間は過ぎていった。

「ちょっと休もうか」
「うん。色々乗り物乗って疲れたもんね。休憩しよう」

ベンチに座ると、貴島君はまたスッと立ち上がった。

「ちょっと待ってて」

しばらくすると貴島君がジュースを持って走ってきた。
そして、ひとつを私に差し出してくれる。

「はい、どうぞ」
「わざわざ買ってきてくれたの? ありがとう」

お金を渡そうとすると断られたので、ありがたくいただく。

「なんかはしゃぎ過ぎちゃったかな」
「ふふ。でも楽しいよ」
「本当?」
「うん」
「それなら良かった」

貴島君は嬉しそうに笑う。
そしてフッと真面目な顔つきになった。

「帰りまでにさ、答え用意しておいてほしいんだ」
「答え?」
「うん。告白の返事」

そうだった、返事しなきゃいけなかったんだ。
私は黙って頷く。
自分の気持ちについて昨日、一晩よく考えた。
このモヤモヤした気持ち、この罪悪感にも似た気持ち。

「帰りでいいの?」
「……帰りがいいな。今は楽しいから」

貴島君は呟くように言った。
きっと貴島君は私の答えを予想している。
だから帰りで良いって言っているんだ。
今の楽しさを壊したくないから……。














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