~LOVE GAME~
GAME0~その後~

~その後1~




龍輝君と気持ちが通じ合った後、龍輝君は家まで送ってくれた。

「送ってくれてありがとう」
「いや。また、来週」

照れくさい気持ちのまま玄関前でそんな会話をしていると、声に気が付いたのか、ガチャっと玄関が開いてお兄ちゃんが出てきた。

「お、ふたりとも無事に会えたようだな」

夕飯の支度をしていたのか、エプロン姿でニヤニヤと私たちを見つめてくる。
貴島君の時の様に威圧感はなく、むしろフレンドリーだ。

「昼間は突然お邪魔してすみませんでした。春岡龍輝といいます。よろしくお願いします」

龍輝君は背筋を伸ばして、きちんと挨拶をした。
お兄ちゃんはうんうんと頷き、「兄です」と端的に答える。

「で? ふたりは付き合うの?」
「え……、うん」 

改めて聞かれると、恥ずかしい。
しかし龍輝君は堂々としている。

「はい。楓さんとお付き合いさせていただきます」
「ふぅん」

お兄ちゃんは龍輝君の前に立つ。
龍輝君も背は高いが、お兄ちゃんの方が少し背が高く、また、大学生ってだけあってガタイはいい。
しかし、龍輝君はそんなお兄ちゃんにもひるむことはなく堂々としていた。

「妹をよろしく。それと……」

お兄ちゃんは龍輝君にそっとなにか耳打ちしている。

「はい、必ず」
「何の話?」
「いや……」

何かを約束したようだが教えてもらえなかった。

「よし、楓。中に入るぞ」
「うん。じゃぁ龍輝君、またね」
「あぁ、また連絡する」

お兄ちゃんに促されるまま、名残惜しい気持ちを抑えて家に入った。
お兄ちゃんが居なければ、もう一度キスくらいしてもらえたかな……、なんて考えて顔が熱くなる。
もう、私ったら何を考えているんだ。
恥ずかしい、でもとても満ち足りた気分だった。
そういえば……。

「お兄ちゃん、龍輝君に何を耳打ちしたの?」
「教えない」

ケチ。
言葉にせずにお兄ちゃんの背中にべーっと舌を出す。
二階の自室で着替えながらスマホを見ると、龍輝君からメッセージが届いていた。
実は資料室であれだけ一緒に過ごしていたのに、番号を交換していなかった。
なんでそんな初歩的なことを忘れていたんだろうという感じだ。
ウキウキした気分でメッセージを開くと、一言「今家着いた」と入っていた。

「フフ、報告だけ? でも龍輝君らしい」

おかえりなさい。
そう返事をして、夕飯の席に着いたのだった。







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