本当はずっとキミだけを…。
映画が終わった後、あたし達はなかなか立ち上がる事ができないまま
誰もいなくなったスクリーンを眺めていた。
少しして、清掃の人達が入ってきてようやく立ち上がったあたし達は、何も言わないままそのまま映画館を後にした。
ほんの2時間程前までは晴れていた空は、見上げれば雲に覆われていて、今にも雨が降り出しそうだった。
「ここに座ろうか?」
少しだけ歩いた距離にあったベンチに1人分のスペースを空けて腰を下ろした。
手は、まだ繋いだままだった。
高津くんは、きっとあたしの気持ちに気づいている。
映画館で高津くんの涙を見たとき、そう確信したのに、なにも・・・言えない自分が不甲斐なく薄情に感じた。