不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
「付き合った理由は、すぐにヤれそうだと思ったから。だったみたいです」
ははっと空笑いを見せた鈴加。
でも、また今にも泣き出しそうに瞳を潤ませていた。
それを必死に押し込めるように、鈴加の手はギュッと震えたまま握られていた。
「孝太にとってあたしはただの遊び相手にしか過ぎなかったんですよ……」
孝太というのは彼氏の名前だろうな。
その名前を呼んだ時の鈴加の顔は、本当に辛そうだった。
「ねぇ、司先輩?」
「ん?」
「やっぱり付き合ったらエッチってしなくちゃいけないの?」
っ!!!
な、何を聞くかと思えば!!
でも鈴加の顔は真剣で……
「別に義務ってわけでもないわけだし、それはお互いが決めることだろ?」
もう少しいいアドバイスはなかったのかと、言い終わった後にそう思った。
「司先輩はやっぱり付き合った相手とはシたい?」
「俺っ!?」
さっきからよくズバズバ聞くな……
「ま、まぁ、そりゃ―、そうかもな……」
あえて言葉を濁した。
付き合ったことは何度かあるけど、一度たりとも本気になったことはない。
『好き』だの『愛してる』だの。
そんなものは小さい頃から持ち合わせていないから。