不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
「孝太が……好きだったんですよ。甘いもの……。だから、つい……」
そう言って悲しそうに笑う鈴加の姿に、胸が締め付けられるような感覚がした。
「そっか……」
「はい……」
顔を伏せ、視線を落とした鈴加。
「「――………」」
無言な俺たちの間を、優しい風が通り抜ける。
「じゃあさ……」
「はい?」
やっと口を開いたのは俺だった。
「次は甘さ控えめのクッキー作ってよ」
「えっ……」
別にこの雰囲気に堪えられなくなったわけではない。
ただ……今、うつ向いている鈴加の顔を上げさせたかった。
予想通り、パッと顔を上げた鈴加。
「えっ……と……」
「って、鈴加がイヤだったらいいけど……」
「えっ!い、イヤとかじゃなくて……。ただ、司先輩はモテるのに、あたしのなんかのをわざわざ食べさせるなんて……」
「俺は鈴加のが食べたいって言ってんだけど?」
「っっ……」
こんなこと女に言ったのは初めてだ。
ってか女とこんな会話をしたことも……
「あの……じゃあ、今度作ってきます」
少しだけ笑みを浮かべ俺を見てくる。
「あぁ。」とだけ言って、俺も鈴加に微笑み返した。