また、明日~天使の翼を持つキミへ~
一通り演奏を終えたみんなの顔は、まずまずといった表情だった。
「うん。 なかなかいいんじゃない?」
一気に静かになった空間に、親太郎の満足そうな声が響いた。
演奏は終わったというのに、体はまだ震えていた。
それはきっと、あたしだけじゃないと思う。
「今日はこの辺にしとくか」
拓海くんが肩からベースを下ろした。
「そうだな。続きは明日にしよう。 俺、風呂でもっと練習してくるわ」
親太郎は、鼻のてっぺんに汗をかいていた。
真剣になっていた証拠だ。
親太郎はタオルで汗を拭うと、椅子に座っているあたしの方を向いた。
ニッと笑い、『帰るべ』そう言って、鞄を手にする。
「また明日なぁ」
みんなに手を振り、音楽室のドアに手をかけた。
その時――。