また、明日~天使の翼を持つキミへ~
「まだ完全に治りきってなかったんだよ、きっと」
親太郎の隣に座って、背中をさすった。
ゆっくりと、背中が上下に動いている。
温かくて。
大きくて。
親太郎の背中は、何だかとても落ち着いた。
「明日病院に行って、ちゃんとした薬をもらったほうがいいよ」
「そうだぞ、親太郎。田沢の言うとおり。 ちゃんと病院行って、しっかり治せよ」
高橋くんが、ポンと、親太郎の肩に手を乗せた。
「だよなぁ。あんま行きたくねぇけど、ずるずる引きずるのもイヤだしなぁ」
膝に両肘をついている親太郎は、ゆっくり顔を上げ
「行ってみるか」
力なく、微笑んだ。
廊下の開けられた窓から、きんもくせいの香りが風に乗ってきた。
サラサラとあたし達を包み込み、これから少しずつ涼しくなっていくよ。と、教えてくれた。