また、明日~天使の翼を持つキミへ~



11月。


だいぶ肌寒くなってきた。


最近の桜島は少し機嫌がいいみたいだ。


ここ1週間、噴火をしていない。


今の親太郎の病室からは桜島が見えず、残念ながら隣のビルの窓しか見えない。


でも……

もし窓から桜島が見えたとしても、もうベッドから全く起き上がることができなくなった親太郎は、見ることができなかった……



――『桜島が噴火すると、なんか命を吹き込まれてる気がするんだ』


桜島が噴火をしないということは、もしかして……





あたし達3年生は、早い人で入試まであと1カ月をきった。


休み時間の教室で騒ぐ人はいなくなり、カリカリとシャーペンの音だけが怖いくらい響いていた。


高橋くん達の目の下にも、ひどいクマができている。


鹿児島の大学に行くと決めてから、3人は驚くほど真面目に勉強をしていた。






< 319 / 366 >

この作品をシェア

pagetop