望美 ~ママ、離れないわよ。私は絶対に!~


ケイ子はその写真を見て愕然としてしまった。



あの女なのである。

川添望美。


あの女の写真が落ちていたのである。


ケイ子は急いで自分のバックの中のファイリングを探したが、女の写真が無い。


何処を探しても無いのである。

どういうことなのか理解できないケイ子。


心無しか、女の微笑する顔が変形していて口元が不自然に吊り上がっている。
造り笑いをしているようだ。
大きな瞳が、どんどん見開くように開いていく…。

ギョロギョロとまるで目玉が飛び出てくるように…。

白目の部分がこれでもかとムキ出しになっていく…。


(ヒィィ!!)


……『インプリント』
その言葉どおり私は脳内、体内、魂の中に至るまでこの女の存在がジワジワと刻みこまれていく感覚に落ちいりました。
今もなお私があの女の顔を鮮明に覚えているのはきっとこの時既に脳内の奥深くにこの女の存在が記憶され、消去できなくなったのだと思ってやまないのです。
そしてその後、このインプリントは体内にも刻みこまれる事となるのです。
それはまるで殺人鬼に遭遇し、助けて欲しいと体が反射的にブルブル震えてしまうように……。
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