ももかんッ!
fastlive 出会い
あたしは中学生の時、初めて本気の恋をした。
それまで、別に好きな人がいなかった訳じゃない。
むしろ友達と恋バナしたりとかもしたし、告白したりもした。

でもそれは友達以上恋人未満ってヤツで、ただ周りの雰囲気で自分に
「あの人が好き」
って言うのを言い聞かせてただけなんだって気づいた。

相手は同じ中学の先輩だった。
あたしは、先輩の部活引退間近に告白した。
先輩は「昨日、返事書けなくてごめん」って言ってそれきり…
返事は来なかった。

それからもう、恋はしないと決めてしまったんだ。

「キャーっ、ロイドハイツかっこいいー!」
高校2年、相武桃。
アニメ、漫画、ゲーム大好きな所謂オタク。
しかもネット中毒。
ロイドハイツっていうのはロックバンドで、あたしが追っかけしてるバンドなんだ。
ちなみにドラムのTouwaって人が一番好き。
アニメ系の歌しか歌わないから、学校で知ってる人もちょー少なくて…
ていうか、アニメみてる人がいないんだよね。
だからって他の有名なバンドとか好きになれないッ!
ずっとロイドハイツだけのファンだもん♪
そんなあたしが、ヴィジュアル系と言うジャンルを知ったのはあの人がキッカケ…。

天野紘。


「あまの…ひろ…さん?」
あたしの前には同級生くらいの男の子と、その人のお母さん。
「で、こっちは娘の桃よ」
そしてあたしの隣はウチのお母さん。
「…よろしく…」
和室に低い声が吸い込まれてく。
かっこいい声だなあ…
ッじゃなくて、今あたしはお見合い中なのだ!
相手の人、イケメンだあ…
「ごめんなさいねー桃ちゃん…うちの紘、無愛想で…」
「いえっ…いえいえ!!」
「お父さんに似たのね」
「そうそう、その孝明!今元気?」
「元気よー、そっちの竜は?」
「元気すぎるわ」
あはははは、と親同士の会話が始まる。
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