Sweet silent night


「…男慣れしてるでしょ」


面白そうに鼻で笑ってそう言うと、彼は私の手をとって立ち上がった。

…男慣れしてるつもりなんてないのに。
ただ、開き直った女の行動力がすごいってだけ。

オーディオとお店の照明のスイッチを切ると、
手をひかれて店の奥にある階段に案内された。


「足元気をつけて」


急な階段を踏み外さないように慎重にのぼる。

登り切ったところにある木の扉を開けて、中に入るように促された。


「お邪魔します」


窓から注ぐ外の明るさだけでは、中の様子はほとんど何も見えない。


目を凝らしてうかがっていると、突然体が軽くなった。


「え、何…」


何秒かたってから、自分が抱き上げられていることに気付く。

…お姫様だっこなんて初めてなんですけど。


「ごめんね、散らかってて足元危ないから」


そう余裕そうに耳元でささやくと、サンタなのか王子なのかわからない男はあたしをベッドに優しく寝かせた。


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