Sweet silent night


グラスにシャンパンを注いでみんなで乾杯。

グラス同士がぶつかって涼しげな音が響いた。


「とりあえず改まっちゃうけど自己紹介からしようか」


聖さんが手際よく料理を取り分けながらそう言った。


「じゃあ私から。
高野涼子、26歳。
聖とはもうかれこれ6年くらいの付き合いかな?
あたしたちみんなちょっと普通の人とは違った体の構造とか考え方とかの持ち主なの。
みんなそれが何かって部分はまったく違うんだけどね。
私もの場合は恋愛対象が男も女もいけるってこと。
バイセクシャルってやつ。
だからあかりちゃんが聖に愛想尽かしたらいつでも声かけてね」


そう言って涼子さんは笑った。

さっきの彼女の発言もこれなら確かに納得だ。


「僕は葉山かおる、26才。
普通にサラリーマンやってるけどこうみえて実は体はまだ半分女なんだ。
胸はなくなって注射も打ってるけど、まだ大事なものが足りてないんだよね」


「言われるまでまったく気づきませんでした…」

でも確かによくみると顔のパーツは女性らしい。


「そのほうがありがたいよ。
会社じゃ変に気つかわれて心苦しいときもよくあるし。
なかなかガールフレンドもできないし」


…なかなかみんなそれぞれ大変なんだなぁ


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